鯉こくを食べた日は、髪の毛がぼさぼさにならないという。鯉の骨は接着剤の材料にもなるから、ねばねばしているのだろうか?
鯉だけは、テンノーの目の前で切開されるものだから、たいへんありがたい魚である。鳥でいえば、キジよりもリッチなものはない。キジやマツタケはテンノーのお風呂のとなりの調理準備室にぶら下がっていても見苦しくない。その他の食材は見苦しい。テンノーの本妻(※注1)で中宮のお風呂場の隣の調理準備室にある、嫁入り道具の黒い三段棚に、キジが乗っかっているのを、中宮のお父さんの北山入道(※注2)が見て、帰った後、お手紙で「あんなキジのようなものが、そのままの姿で、棚の上に乗っかっているのは見たこともない。世間体がわるいことである。きっと、一般常識のある人がそばについていないからである」と意見したらしい。
■注
(※注1 中宮、禧子)(※注2 西園寺実兼、中宮の父)