人の終焉の有様のいみじかりし事など、人の語るを聞くに、たゞ、静かにして乱れずと言はば心にくかるべきを、愚かなる人は、あやしく、異なる相を語りつけ、言ひし言葉も振舞も、己れが好む方に誉めなすこそ、その人の日来の本意にもあらずやと覚ゆれ。
この大事は、権化の人も定むべからず。博学の士も測るべからず。己れ違ふ所なくは、人の見聞くにはよるべからず。
人の大往生のことなどを、他人から聞いていると、ただ、「静かに取り乱すこともなく引き取りました」と言えばそれだけで厳粛な感じがするのに、頭が中途半端な人は、神秘的で人とは異なるように脚色して、話す言葉や身振りも自分が好き勝手に改ざんするから、死んだその人がいつも心に描いていた気持ちをぶち壊しにしているように感じる。
死という大事件は、天使にも死神にも誰にも決められない。どんなに勉強しても予測できない。自分で「これでいいのだ」と思っていれば、他人が何を言おうと気にすることもないのに。
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