徒然草 第五段 クリックすると原文を隠すことができます

不幸に憂に沈める人の、頭おろしなどふつゝかに思ひとりたるにはあらで、あるかなきかに、門さしこめて、待つこともなく明し暮したる、さるかたにあらまほし。

顕基中納言の言ひけん、配所の月、罪なくて見ん事、さも覚えぬべし。

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■ 現代語訳 クリックすると訳文を隠すことができます

 「自分は不幸な人間だ」などと悩んだり嘆いたりしている人が、頭の毛をカミソリでつるつるにして、ものの弾みで悟りきってしまうのではなくて、ただ意味もなく、生きているというよりは死んでいない感じで、門を閉め切ってひきこもり、意味もなくうだうだと日々を漂っているのも、ある意味では理想的な気がする。

 源顕基の中納言(※注1)が「悪いことをして、流された島で見る月を、無邪気な心で見つめていたい」と言ったことにもシンパシーを感じてしまう。

■注

(※注1 出家して四十八才で死ぬ)

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